開催報告
- 概要
- アンケート結果(おとな)
- アンケート結果(こども)
- 主な掲載・放映実績
学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2018
大盛況のうちに無事終了しました!『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』とは、ブラックボックス化した現代社会で実感する機会の少ない科学や技術の"プロセス"を子どもから大人まで五感で感じられる場づくりを目指し、既存の枠を超えた多様な主体と連携のもと、学都仙台・宮城の地で、2007年から毎年開催している体験型・対話型の科学イベントです。
おかげさまで12回目を迎える今年度も、本趣旨に賛同する大学・研究所や企業、行政や教育機関など、のべ160団体からご出展いただき、東北大学をまるごと会場にして、7月15日(日)、合計129プログラム(講座プログラム型:計38プログラム・計121回実施、体験ブース型:計70ブース、『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ~光編~』リアル版:計21ブース)を一斉実施しました。
おかげさまで今年も昨年以上に多くの方にご来場いただき、大盛況のうちに幕を閉じました。ご来場いただきました計10,666人の皆様、ご出展・ご支援を賜りました関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
これからも知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、学都「仙台・宮城」サイエンス・デイを継続的に開催して参りたいと存じます。引き続き、皆様のご理解・ご協力の程よろしくお願い申しあげます。
開催趣旨
近年、我が国の科学技術研究および産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、子どもたちの「理科離れ」が叫ばれています。「理科離れ」は単に「個人的に理科が嫌い」という問題ではなく、理科を学ぶ過程で本来養われるはずの「知的好奇心」や「論理的思考力」等の低下を意味しています。その結果として、文理問わず高等教育を理解できない学生が増大し、大学教育の質の維持が著しく困難に陥っているというかたちで問題は顕在化しており、もはや「理科離れ」問題は、国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。
これらの社会的背景に、社会の細分化・複雑化に伴い、個々は専門家に任せ、表面だけを利用するブラックボックス化が進んだことがあります。その結果、わたしたちは効率性と引き換えに、本来そこにあるはずの自己と対象との関係性を実感することが困難な状況に陥っています。しかしながら本来、自己と対象との関係性の集積が、すなわち社会です。この自己と対象との関係性が見えない危機こそが、個人・地域社会・国レベルでの問題の本質的な原因とnatural science では捉え、そこから解決策を見出していきます。
自己と対象との関係性を実感しやすい範囲として、natural science は社会の中でも特に“地域”に着目します。自分が社会に与えている影響と自分が社会から受けている影響を実感できることで、人は自らの社会的存在意義を自覚し、主体的に活動することができます。このようなひとり一人の内発的モチベーションによる主体的なアクティビティーが、地域をつくり、そして社会全体をつくるドライビングフォースとなります。つまり“地域”こそが、社会をつくる基盤であると同時に、社会全体をつくる原動力として、大きな可能性を秘めているのです。
そもそも「科学」の本質は観察からはじまります。対象に直接触れ、自分の目で見て、自己と対象との関係性を五感で感じることなしに、知的好奇心・論理的思考力が養われることはありません。「科学」と言うと「科学は専門家だけが知っていればいい」と自己と科学との関係性を認識しようとしない風潮や、または成果ばかりが注目されがちですが、そこに至るまでのプロセスにこそ、知的好奇心や論理的思考力をはじめとする、科学的なものの見方・考え方、すなわち自己と対象との関係性を構築する姿勢が隠されています。
natural scienceでは、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、「科学」を切り口に、自己と対象との関係性の可視化・再構築の場として機能することを「科学で地域づくり」と位置づけ、日々の科学教育プログラムの開発・実施のほか、大学・研究機関や企業、行政・教育機関等と連携し、2007年から毎年、体験型科学イベント『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を開催しています。『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「“科学”って、そもそもなんだろう?」をテーマに、製品や成果等の“結果”だけでなく、科学や技術の“プロセス”を五感で感じられる場づくりを通じて、子どもから大人まで、各人各様の感じ方から自己と対象との関係性を可視化・再構築する場として機能することを目指すものです。
そもそも人間は生まれながらにして知ることを欲する存在です。そして生まれた創造物が共有されることは喜びです。この認識に立つ時、科学は人の本性に根ざすものとなり万人のものとなるでしょう。こうした共感の輪を生み出す循環こそが、人間の本来持つ内発的モチベーションがさらに発揮され、次、その次に登場する科学や技術が継続的に生み出され、わたしたちの心豊かな社会が達成されていく土壌となるはずです。
知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造に資することを願い、今年も『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を開催いたします。皆さまのご理解・ご協力・ご参加を、心よりお待ち申し上げております。
特定非営利活動法人 natural science
企画概要
科学のプロセスを子どもから大人まで五感で感じる日
社会の成熟化に伴い、科学や技術はブラックボックス化し、わたしたちは便利さと引き換えに、科学や技術の“プロセス”を五感で感じる機会を失ってきました。しかしながら、科学や技術のもたらす“結果”のみを一方的に享受するだけの姿勢では、科学離れや科学リテラシー不足などの社会的リスクを回避することはできません。
一方で、ここ仙台・宮城は、「科学」という切り口で見ると、大学・研究機関、民間企業や行政・教育機関等が密集し、研究者や技術者等が日々研究・開発等の活動を行い、わたしたち市民の生活と科学・技術が隣り合わせで存在する、古くから「学都」と呼ばれる地域です。
この地域の特性を活かし、「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、科学や技術の背景にある“人”や“プロセス”を自らの五感で感じられる場として、『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を毎年開催します。
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「科学」を切り口に地域を再発見し、関係性再構築の場として機能することで、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造に資することを目指します。
ステップと期待する効果
ステップ① 科学の"プロセス"を体験
各出展団体の現場の"人"が「おもしろい」と思う"プロセス"を形にした体験型プログラムを通じて、普段なかなか実感できない"プロセス"を体感することで、子どもから大人まで各人各様の感じ方から自然な形で興味・関心が喚起される。
ステップ② 研究者や技術者等の現場の"人"との対話
喚起された興味・関心は各人 各様であり、それぞれの人が「知りたい」と思うところから、研究者や技術者等の現場の“人” との対話を通じて、各自が興味・関心を深めることができる。
ステップ③ 生活の中で関連事項と遭遇
本企画は地域資源で構成されているため、本企画終了後も、市民が普段の生活の中で関連事項と遭遇する機会は多い。これまで何気なく利用していた製品や成果等の"結果"を見ても、本企画をきっかけに"プロセス"があることを想像でき、興味・関心が継続し、身近に感じられる効果が期待される。
ステップ④ 年間を通じた科学イベントへの参加
本企画の"見本市"的な特徴を活かし、「学都仙台・宮城サイエンスコミュニティ」会員登録により、各出展団体が開催する一般むけ科学イベント(一般公開や市民むけ講座など)情報を市民へ直接的・継続的に配信できるシステムをつくることで、年間を通じて市民が科学に触れられる機会を増やす。
ステップ⑤ 毎年恒例イベントとして参加
毎年開催により認知度は高まりつつあるが、今後も地道に連携機関を増やし、地域の毎年恒例イベントとして定着化を図ることで、科学・技術に興味・関心のある人から、普段は科学イベントにあまり参加しない人まで、幅広い層が科学・技術を楽しむことができる場を地域に創出していく。
ステップ⑥ お互いに応援し合うコミュニティへ
各主体の取組みについて、各主体や市民がお互いに応援し合ったり、表彰し合えるしくみ(サイエンスデイAWARD等)をつくることで、相互理解を深めながら誰もが主体的に科学に参加できる持続可能な『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の構築を目指していく。
ステップ⑦ 科学と社会をつなぐ優れた方法論を共有
サイエンス・デイ オブ ザ イヤーの審査を通じて、科学と社会をつなぐ優れた方法論を発見し、地域で共有化するしくみをつくることで、次なる創造へとつなげていく。
今年の新しいポイント
● サイエンス・デイのチラシ裏面に、科学イベント情報を掲載できます
(県内の全公立小中学校並びに出展高校等に約23万部を学校配布予定)
今年下半期に開催される科学イベント情報を一元的にまとめた『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ~科学イベント編~』を、今年度もサイエンス・デイのチラシ裏面(県内の全公立小・中学校及び出展高校等に全児童・生徒分の約23万部を6月下旬~配布予定)を活用して作成し、学校配布します。科学イベント情報掲載ご希望の方は、natural science までご連絡ください。
● 科学イベント情報告知・申込・受付自動化システムを利用できます
(学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ会員:約1万2千人)
『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の個人会員(約1万2千人)
むけに、各団体が年間を通じて開催している科学イベント情報を告知し、
申込・受付を自動化できるWebシステムを利用できます(無料)。
ご希望の方は、本コミュニティのWebサイトからお申し込みください。
● 「光」ゾーンを新たに設けて“光”に関するミニブース出展を募集し、光の波長ごとに並べる今年初の試み
サイエンス・デイでは、「科学・技術の地産地消」と銘打ち、地域の多様な科学のプロセスを可視化・共有化できる場づくりの一環として、非専門家でも科学・技術を俯瞰しより深く理解できる方法論の開発・実践に取り組んでいます。2014年度からは、“光(電磁波)”を切り口に、地域の科学・技術を可視化する『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を毎年作成し、サイエンス・デイ来場者並びに関係各位からご好評いただいております。さらにサイエンス・デイ2018では新たな試みとして、より深い理解へと導く場づくりを目指し、『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を実際に五感で体験できる“リアル版”として、“光”に関するミニ出展ブースを募集します。光速(c)にかけて会場の講義棟C棟1階(来場者数が最も多いエリア)に“光”ゾーンを新設し、電磁波の波長ごとに光に関する展示品を並べる予定です。来場者は『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を片手に、“光”ゾーンをまわることで、より理解を深めていただくという趣向です。なお、本企画については、一部屋になるべく多くの“光”に関する展示品を並べることで俯瞰した理解をねらいとするため、1出展あたりの展示スペースは机1、2個程と小さく、説明人員も必須ではありません。通常出展とリンクしたW出展もより深い理解につながるため歓迎します。光に関わる研究・開発をされている方はぜひお申込みください。
● 「サイエンス・デイ オブ ザ イヤー」審査は今年から事前エントリーが必要に
サイエンス・デイでは、科学・技術を社会・一般に伝える内容と方法が画期的でありかつ他の分野や組織での応用・展開が十分期待できるサイエンス・デイ出展内容を審査し表彰する「サイエンス・デイ オブ ザ イヤー」を2016年度から始めています。さらに、2018年度からは「科学と社会をつなぐよい方法論を共有する仕組みづくり」をさらに具現化すべく、出展団体がその方法論を競い合うコンテスト形式の「サイエンス・デイ オブ ザ イヤー」(文部科学大臣表彰等を予定)にバーションアップします。それに伴い、「サイエンス・デイ オブ ザ イヤー」の審査対象となるためには、全出展者が審査対象となった2017年度までとは異なり、通常の出展申込とは別に専用の申込が必要となりました。エントリーする方は出展申込書の項目にチェック後、審査員提出用の企画概要(科学を社会に伝えるためにどのような工夫をしているかを中心に)をWordファイル(図や写真付。形式やページ数は任意)で、6月29日(金)までにメールで提出してください(宛先:info@natural-science.or.jp)。
開催概要
- 名 称
- ①学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2018
②サイエンスデイAWARD2018表彰式
③サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2018 表彰式 - 日 時
-
①2018年7月15日(日) 9:00~16:00
②2018年7月20日(金)予定
③2018年8月17日(金)予定 - 会 場
- ①【メイン】東北大学川内北キャンパス 講義棟 (仙台市青葉区川内41)
【サテライト】東北大学工学研究科・工学部サイエンスキャンパス
②調整中
③調整中
会場となる東北大学内に、駐車場はございません。 路上駐車場及び周辺施設への駐車は、固くお断りいたします。 ご来場の際には、公共交通機関をご利用ください。
- アクセス
- 仙台駅からのアクセス
- 主 催
- 特定非営利活動法人 natural science (2007年6月設立)
- 共 催
- 東北大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所 東北センター、東北大学多元物質科学研究所、仙台市教育委員会、仙台高等専門学校、東北工業大学、公益社団法人応用物理学会東北支部、一般社団法人日本物理学会東北支部、一般社団法人電子情報通信学会東北支部、公益社団法人日本金属学会東北支部、東北大学工学研究科・工学部創造工学センター 、東北大学知の創出センター
- 協 賛
- 株式会社ユーメディア、一般財団法人みやぎ産業科学振興基金、物質・デバイス領域共同研究拠点、人・環境と物質をつなぐイノベーション創出 ダイナミック・アライアンス、一般社団法人日本鉄鋼協会東北支部
- 後 援
- 文部科学省、宮城県、仙台市、宮城県教育委員会、国立研究開発法人科学技術振興機構、東北工学教育協会、東北経済産業局、 一般社団法人東北経済連合会、公益財団法人東北活性化研究センター、国立研究開発法人理化学研究所、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、仙台管区気象台、学都仙台コンソーシアム、 東北学院大学、宮城大学、東北生活文化大学、一般社団法人みやぎ工業会、宮城県中小企業団体中央会、公益財団法人みやぎ産業振興機構、一般社団法人宮城県発明協会、仙台市PTA 協議会、仙台商工会議所、仙台経済同友会、一般社団法人電気学会東北支部、一般社団法人情報処理学会東北支部、一般社団法人映像情報メディア学会東北支部 、公益社団法人石油学会東北支部、一般社団法人日本光学会、公益社団法人日本技術士会東北支部、 公益社団法人日本分光学会東北支部、公益社団法人 日本磁気学会、公益社団法人日本天文学会、公益社団法人日本水産学会東北支部、一般社団法人日本エネルギー学会東北支部、一般社団法人照明学会東北支部、公益社団法人土木学会東北支部、一般社団法人日本建築学会東北支部、公益社団法人日本生物工学会、一般社団法人日本機械学会東北支部、公益社団法人日本化学会東北支部、公益社団法人日本建築家協会東北支部、公益社団法人高分子学会東北支部、公益社団法人 計測自動制御学会東北支部、公益社団法人 空気調和・衛生工学会東北支部、日刊工業新聞社東北・北海道総局、産経新聞社東北総局、読売新聞東北総局、毎日新聞仙台支局、朝日新聞仙台総局、河北新報社、東北放送、仙台放送、TBC東日本放送、NHK仙台放送局、ミヤギテレビ、エフエム仙台
- 入 場 料
- 無料
- 来場対象
- こどもからおとなまでどなたでも
- 来場見込
- 約10,000人(2017年実績:10,580人)
- 出展費用
- 無料(ただし出展に関わるその他の費用はご負担下さい)
- 出展募集
- 講座プログラム型:約40プログラム、体験ブース型:約60ブース
- お問合せ
- 特定非営利活動法人 natural science 事務局 大草芳江
〒980-0023 仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル7階 Five Bridge 内
Tel.022-721-2035
URL http://www.natural-science.or.jp/
お問合せフォームはこちら - 備 考
- 本イベントは学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ(JST科学技術コミュニケーション推進事業「ネットワーク形成地域型」平成25年度~平成27年度採択事業、提案期間:宮城県、運営機関:特定非営利活動法人 natural science)の土壌づくりの一環として開催されています。
応援メッセージ
掲載順序は到着順です
宮城県知事 村井 嘉浩 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2018』が開催されますこと,心よりお祝い申し上げます。
私たちの生活は,科学技術の進歩により日々便利になっています。しかし,私たちは,身の回りの物事や技術を当たり前のものとして,その仕組みを意識せずに利用してしまいがちです。『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』は,それら普段意識されない科学のプロセスを体感しようというテーマで始まり,県内の大学・研究機関,関連企業の皆様の御協力の下,子どもから大人までが,科学技術を楽しみながら身近に五感で体験できるイベントとして定着してきました。引き続き,多くの方々の科学技術への理解を大いに深める場となることを期待しております。
本県は,震災からの復興に向け,一丸となって取り組んでいるところですが,このイベントに多くの企業様や県民の皆様が参加され,宮城,東北を元気にするイベントになることを心から期待します。
仙台市長 郡 和子 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2018』が開催されますこと、心よりお慶び申し上げます。
私たちは、普段より家庭でも職場でも多くの道具に囲まれ、便利な生活を送ることができておりますが、ともするとその便利さを生み出す科学技術の仕組みや不思議さを見過ごしてしまいがちです。本イベントでは、科学の原理やプロセスを子どもから大人まで五感で感じられる工夫にあふれ、知的好奇心を大いに刺激させる内容となっております。
科学技術の世界は日進月歩。そのスピードを支えているのは科学技術を理解し、楽しむ心なのではないかと思います。サイエンスデイが、ここ「学都仙台」に定着した感があることを大変喜ばしく感じますとともに、実施にあたって多大なるご協力をいただきました大学・研究機関、関連企業の方々に深く感謝いたします。
本イベントに来場された子どもから大人まで多くの市民の皆様が、科学についての関心をより一層深められ、知的刺激に満ちた市民生活に繋がりますことを期待しております。
東北大学理事・副学長(社会連携・震災復興推進担当) 原 信義 さん
電圧の単位のボルトは、ボルタ電池の発明で知られるイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタの名前に由来しています。ボルタ電池は最初のガルバニ電池であると言われるように、実はイタリアの医師・解剖学者ルイージ・ガルヴァーニの発見に端を発しています。神経に対する電気刺激の研究をしていたガルヴァーニは、ある日、蛙の足の筋肉を異なる2つの金属で挟み、金属同士が接触したとき、足がけいれんする現象を発見しました。彼は動物が体内に「動物電気」を持っているためであると考えました。この研究に興味を持ったボルタは、二つの異なった金属で電解質液(蛙では筋肉)をはさむと電気が発生することを見いだし、銅と亜鉛と希硫酸を使ったボルタ電池を作りました。電気の発生原因に関するガルヴァーニの解釈は間違いでしたが、ガルヴァーニの研究がなければボルタ電池の発明はなかったかもしれません。電圧の単位に名は残りませんでしたが、その功績を称えて化学電池をガルバニ電池と呼び、異種金属の接触で流れる電流をガルバニック電流と呼ぶようになりました。レモンに銅と亜鉛を差し込んでできるレモン電池は、れっきとしたガルバニ電池です。最初の発見を大切にする科学の世界に、皆さんもちょっと触れてみませんか、新しい発見を求めて。
東北大学 多元物質科学研究所 所長 村松 淳司さん
科学の祭典、サイエンスディに、ようこそ!身の回りには科学がたくさん!スマートフォンって、中はどうなっているんだろう。どうやって、他の人と話をしたり、メールを書いたり、ラインでつながったりしているんだろう。疑問、質問に、答えてくれるのが、サイエンスディです。ぜひ、多くのところを回って、体験して、?マークをたくさん作って、いっぱい、質問してみてください。もっともっと、科学が好きになり、楽しいことが、いっぱいになるでしょう。
東北大学名誉教授 教授 花輪 公雄 さん
既に毎年の恒例イベントとなりましたが,第12回「『仙台・宮城』サイエンスデイ2018」が,7月15日(日)に東北大学川内北キャンパスの講義棟を中心に開催されます.皆さん,ワクワクして待っておられるのではないでしょうか.今回も高校や中学校の科学クラブ,国や県などの公的研究機関,NPO組織,大学の研究室,そして個人参加の方も含め,多くの団体が体験ブースを設けたり,講座を開いたりしています.扱われるテーマも最先端のサイエンスであったり,身近なサイエンスであったりと様々です.ぜひ,多くのブースを訪問したり,講座を体験したりして下さい.物がどうしてそのようにあるのか,そして,物の動きの仕組みやその理屈が分かることは,私たちとって大きな喜びです.周りが明るくなったような気もします.このようなことを通じて,皆さんが「分からないことを明らかにする」ことにチャレンジする心を持ってくださったなら,サイエンスデイ2018のイベントは大成功と言えましょう.
国立研究開発法人 産業技術総合研究所東北センター所長 松田 宏雄さん
学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2018(第12回)の開催を心からお喜び申し上げます。干支で言えばちょうど一周12年目の開催となりますが、いつも新しい創意工夫を重ねて発展してきた夏休みスタートを飾るイベントとして、今年も大変楽しく有意義な会になるものと期待しております。
産業技術総合研究所は、科学技術研究の成果によって産業振興を図り、日本の生活環境を向上させる使命を担っております。科学の恩恵は我が国ばかりでなく世界の平和と発展に寄与するものと信じて疑いません。皆さんが科学に興味を持ってさまざまな意見を発信することこそ、世界の平和と安心な社会の基盤となります。そのようなきっかけを与えるサイエンス・デイの取り組みを中心になって推進してこられた方々に感謝申し上げるとともに、当初から共催メンバーに加えていただいている産総研東北センター職員一同、心から応援させていただきます。
宮城大学 理事長・学長 川上 伸昭 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2018』の開催おめでとうございます。干支ひと廻りになる12回目を迎えるとはたいへんなことです。みんなでお祝いしましょう!
私は3年間,東京のお台場で行っているサイエンスアゴラの開催に関わってきましたが,このようなイベントでは参加者の思いがまちまちで,百家争鳴になるものです。したがって,これらを一つのイベントに編み込んで,毎年続けていくことは容易ではありませんでした。サイエンス・デイは12年間にわたり,コンセプトを保って,発展させてきています。素晴らしい取り組みです。
今や科学は社会の隅々にまで広がり,社会を動かしています。すべての人にとって科学を理解することが必要になっています。このイベントによって,一人でも多くの人が少しでも科学に対する理解を深める機会になることを願い,これに参加することを楽しみにしています。
東北生活文化大学学長 山田 宗慶 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンスディ2018』の開催おめでとうございます。サイエンスは生活と文化を支える大きな柱の一つです。身の回りのことから宇宙のはてまで、あらゆるものごとの真理を明らかにして、それをもとに人類に幸福な生活と文化をもたらしてくれる重要なものです。サイエンスディはサイエンスの面白さや素晴らしさ、そして夢を与えてくれるだけでなく、"サイエンスする"ことはどういうことかを体験させてくれます。沢山の人がサイエンスディに参加してサイエンスを実感して生活と文化を一層豊かなものにしていただければ幸いです。
東北大学 理学研究科長 寺田 眞浩 さん
自然は謎に満ちています。その謎を解き明かすのがサイエンスです。謎解きは難しいですが、その一端を解き明かした時の瞬間-「わかった!」-は、心奮える感動を覚えます。「面白い」や「知りたい」といった純粋な好奇心・探求心に端を発しているサイエンスは、「知を求める」人の本質から生じていると言えます。日常のほんの小さな疑問「なんでだろう」がきっかけとなり「自然の理(ことわり)」を明らかにする流れを生み、やがては「知の創造」へと体系化されていくのです。皆さんが「なんでだろう」と思うことこそがサイエンスの原点であり、想像力をたくましくして謎解きに挑戦する第一歩になります。そのサイエンスが導く先は「知の創造」を通じて「知を求める」人の心を豊かにすることはもちろん、社会を豊かにするきっかけになることもあります。この「サイエンスデイ」に参加することで、皆さんがもつ好奇心と探究心が触発され、身の回りに起こっている不思議を感じとり興味を持つことで、未来の「知の創造」へとつながることを期待しています。
東北大学 環境科学研究科長 土屋 範芳 さん
地球がおもしろくて,地質学者になった.そして,地質学者一人一人が自分自身の地球観を持っている.地球はきっとこうしてできたに違いない,この山はこうやってそびえてきたし,この谷はこうやって深くえぐられてきたに違いない.地質学者一人一人が地球に対する熱い思いを持っている.でも,地球はひとつ,真理もひとつ,地球の成り立ちは,人知を越える壮大な物語.地球の前に一人の人間なんてとっても小さい.でも,でも,きっとぼくの地球観は誰よりも優れている.科学者とはそういう生き物.夢見るわがまま人間.サイエンスを楽しもう.
スリーエム仙台市科学館 館長 石井 鉄雄 さん
「サイエンス」とか「科学」という言葉を聞くと、何かワクワクする気持ちにならないでしょうか?何かおもしろそう、不思議なことがありそう、そんな期待を持つ人は多いと思います。でも、何かむずかしそう、ですよね。
『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』では、最先端の科学や技術開発に関わる多くの人たちが集まって、わかりやすく研究の中身を教えてくれます。また、将来の科学者を目指す中学・高校や高専の生徒さんも、楽しい科学への道案内をつとめます。
科学や技術を実際に見て、触れて、ためしてみること、そしてそこから感じた不思議を自分で考えてみること。サイエンスデイは、科学という大きな世界の入り口がたくさんつまっています。あなたにも、きっと科学との素敵な出会いが待っています。私たちスリーエム仙台市科学館は、『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』を心から応援しています。
仙台市天文台 台長 土佐 誠 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2018』の開催おめでとうございます。今年で12回目を迎えるということですが、毎年、「夏が来ればサイエンスデイ」、七夕やペルセウス座流星群とともに、仙台・宮城のサイエンスファンにとって年中行事です。サイエンスの楽しみ方はいろいろありますが、「サイエンスの面白さはそのプロセスにあり」それを「五感で楽しむ」というコンセプトに引かれます。また、サイエンスの楽しみ方は、それぞれの人の成長に合わせて変わっていきます。サイエンスデイに何度も参加された常連の方にも新しい発見があると思いますが、サイエンスに対する関心や見方がどう変わったかを考えることも楽しく、興味深いことです。当日は、日が暮れると、西の空に宵の明星金星がひときわ明るく輝き、南の空に木星、南東の空に土星が輝き始めます。さらに、東の空には15年ぶりに地球に大接近する火星が昇ってきます。おなじみの惑星がサイエンスデイの成功を祝っているようです。
東北大学副学長(広報・共同参画担当)・大学院医学系研究科教授 大隅 典子 さん
「知識」と「科学」は英語ではそれぞれ「knowledge」と「science」だが、scienceの元になったラテン語は「scientia」で、実はscio(知る)という動詞から派生した。つまり、どちらも世界の理(ことわり)を知るという意味なのだ。近代的な意味での「サイエンス」という概念は、もともと日本には無かったが、幕末から明治の頃に「科学」という訳語が与えられた。漢語についての素養がある日本人の努力により、酸素、元素、細胞など、他にも様々な和製漢語が造られ、それがサイエンスを母語で思考することを可能にした。世界を知ることは心を豊かにし、社会を豊かにする。今年も行われる「サイエンスデイ」が、子どもたちの知る心を刺激し、それがさらにイベントに関わる方々の新たな発見に繋がることを期待する。
公益社団法人応用物理学会東北支部長 藤原 巧 さん
今年度の『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』の開催、おめでとうございます。主催のNPO法人natural scienceの皆さまをはじめ、たくさんの方の熱意と尽力に心より感謝申し上げます。東北の都市、仙台でこのようなサイエンスの催しが長く続いていることは、かつてアインシュタインが来仙し、「日本国・仙台に学術研究あり…」と感想を述べられたことを改めて想起させられます。
私が支部長を務めている応用物理学会では、サイエンスの基礎をなす物理学を土台として、それを応用し、各種産業をはじめとする人類社会への貢献を目指して活動しています。サイエンスは、今では人々の生活になくてはならないものになりました。それは、エネルギー、環境、バイオ、情報、医療技術など多くの分野において、サイエンスがもたらしてくれた様々な製品や便利なインフラ、そしてさらに進展する未来を我々に与えてくれるからです。でも、このような、いわば物質社会を充足させる効果は、サイエンスの一側面にすぎないのではと思います。サイエンスのもう一つの、そしてかけがえのない恩寵、それは、すべての人の心に語り掛け、好奇心や希望、そして夢を与えてくれる、「心を豊かに」してくれることではないかと思います。いつの時代も、世界中のどこでも、サイエンスはみんなが共有できる貴重な財産です。この機会に、ぜひ、たくさんの皆さまがサイエンスを楽しみ、堪能されることを願っております。
東北大学大学院工学研究科 電子工学専攻 教授 金井 浩 さん
こんなに科学が発達しても,人間は光合成のできる木の葉を作ることはできません。似たものは出来ても本物とは程遠いです。必要な元素を組み合わせ単細胞生物のゾウリムシを作ることは,想像すら出来ません。20世紀の科学の発展によって確かに豊かな生活ができるようになりましたが,身の回りには,まだ解明されていないことの方が遥かに多いのです。不思議に思う「知的好奇心」を大切にし,自然や社会を相手に不思議を解明する学問が「科学(サイエンス)」です。そこでの発見をもとに,さらに人や社会を豊かにする発明などの学問を「工学(エンジニアリング)」と言います。このサイエンスディのテーマの「心豊かな」というのは,周囲や自然に関心をもち,受け身でなく積極的な気持ちで生きることだと思います。出品される多くは,こうした心豊かな方々の成果です。是非参加される皆さんの知的好奇心もさらに豊かになることを願っています
一般社団法人 東北経済連合会 会長 海輪 誠 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2018』の開催、おめでとうございます。東北経済連合会(以下「東経連」)では、巨大な電子顕微鏡と言われる東北放射光施設や、宇宙誕生の謎に探る素粒子物理実験施設「国際リニアコライダー」(以下「ILC」)等、世界最先端の研究開発プロジェクトの実現に取り組んでいます。
東経連では、2016年からサイエンス・デイにILCのブースを出展しています。今年もお子様にもILCに親しんで頂けるように、紙芝居や、カルタ、クイズ等を準備してお待ちしています。
ILCは、日欧米が中心に検討されている国際共同科学プロジェクトです。その候補地が岩手県南部から宮城県北部にかけての北上サイトです。ILCが実現すれば、世界中から東北に「優れた人材」が集まります。東北が「世界の知の拠点」となり、未来を担う子どもたちの教育や人間形成にも役立つことが期待されます。
ぜひブースにお立ち寄り頂き、プロジェクトの意義をご理解頂きたく思います。「サイエンス・デイ」が盛会に開催され、子どもたちの科学技術への興味関心を高める機会となることを大いに期待しています。
国立仙台高専 校長・東北大学名誉教授 福村 裕史 さん
昨年のノーベル化学賞は、タンパク質の立体像を、電子顕微鏡を使って求める手法を開発した研究者に送られました。電子顕微鏡そのものは新しい道具ではありませんが、分子の像を三次元でどのようにして求めるか、観測法や情報処理技術も含めた業績が高く評価されました。このことは現代科学の二つの特徴を示しています。ひとつは、科学の進歩が最新技術の開発に大きく依存していることです。もうひとつは、生物、化学、物理、数学など、旧来の分野の枠を超えた取り組みが科学の進歩の鍵になっていることです。言いかえれば、技術の開発をする人も含めて、いろいろな分野を担当する人々が知恵を出し合って協力すれば、だれでもサイエンスに貢献できるのです。学都仙台でおなじみのサイエンスデイが、好奇心を糧にして違ったものを結びつけ、分野の壁を引き飛ばすことを願っています。
日本物理学会東北支部 支部長(東北大学大学院理学研究科 教授) 中村哲さん
今年も『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2018』が開催されると聞き大変嬉しく思います。「物理学」=「森羅万象をモデル化し理解する学問」の基礎となる論理的な物事の考え方、不思議な現象に出会ったときに理解したいと思う好奇心は、一朝一夕に身につくものではなく、若いうちから科学に触れることで少しづつ培われるもので、サイエンスデイが多くの人達にそのような機会を提供することになると思います。
近年「若者の理科離れ」が問題になっていますが、「学習塾が主催する実験教室がすぐに予約で埋まってしまう」という話を聞けば、「理解できる」科学に触れる機会が不足しているだけで「若者の好奇心が枯渇しているわけではない」ことが分かります。SF作家のアーサー・C・クラークは「十分に発達した科学技術は、魔法と区別できない」と言っています。これがさらに進むと「極端に発達した科学技術は、当たり前の事となり誰も興味を持たない」ということになるかと思います。
我々の身の周りにありふれたハイテク技術も全て、元をたどれば、すぐに役に立つとは限らない科学的好奇心から生まれたものです。例えば、今や誰もが当たり前に使っているスマートフォンやカーナビは、古代ギリシャに端を発する電磁気学、そして相対性理論の集大成と言えます。スマートフォンに使われる技術が如何に凄い物かを真に理解するためには、複雑に絡み合って構成された最先端技術をより単純な物へと分解し、自分で実感できる形に直す必要があります。
サイエンスデイでは、様々なグループが皆さんの知的好奇心をかき立てるような、見て・触って・理解できる展示を行います。科学を実感し、楽しむ経験が、今の我々には想像もつかないような凄い技術の種になるような研究を行う「未来の研究者」の育成に役立つと期待します。
東北大学 医工学研究科長 厨川 常元 さん
「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」これは「2001年宇宙の旅」などを書いた有名なSF作家アーサー・C・クラークの言葉とされています。科学技術は魔法ではありません。同様に自然界の現象も魔法ではありません。自然現象の不思議さに驚き感動する気持ちは大切ですが、それで終わっては魔法に対する態度と変わりがありません。サイエンス・デイは、驚きや感動を入口とし、その現象の不思議さの仕組みを解明する道に人を誘う取組みであると思います。社会の諸問題を解決するにはこの道を歩み、魔法ではなく、仕組みの分かった技術を、適切な方法で用いるしかありません。医工学研究科は、病気を治したり、身体の回復を促進したり、あるいは介護の負担を軽くしたりするために、困っている人たちのいる現場のニーズを集め、社会に役立つアイディアにし、それを数学・物理・化学の力で実現可能な技術として具現化することに取組んでいます。サイエンス・デイの会場にはこの探求活動を推進するエンジンとなる好奇心が溢れていると感じます。
東北大学 文学研究科長 森本 浩一 さん
18世紀の哲学者カントは、人間が経験に基づいて語ることのできる事柄の限界を見極めることの重要性を説きました。その後の自然科学の成功は、この「限界をわきまえる」ことが基盤になっています。例えば、神や死後の魂が存在するかどうかといった問いは、宗教的には重要でも、サイエンスの問題ではありえません。観察や実験に基づいて数学の言葉で仮説を立てるだけ、という節度ある姿勢が、確実と信じることのできる知識を増大させてきたわけです。とはいえ、私にとってより印象的なのは、そういう節度を保ちつつも、例えば物理学や脳科学が、そもそもこの世界(宇宙)を作り上げている源は何かとか、心とは何かといった根本的な問いに挑み続けていることです。そこには、自己や世界が現にここに存在するという事実そのものの不思議さに取り憑かれてしまう人間の本性がかいま見えます。そうした点で、人間性の探究をテーマとする人文学(文学部の学問)と自然科学は、根っこのところでは同じ精神を共有していると思います。文学部もサイエンスデイを応援しています。
東北学院大学 工学部長 中沢 正利 さん
第12回目を迎えるサイエンスデイ2018の開催、おめでとうございます。私の専門は建設系ですので、地震や風や波などの自然の力に対抗するというサイエンスが主な分野です。大阪北部地震では、コンクリートブロック塀が倒れて小学生の女の子が亡くなってしまいました。ブロック間に鉄筋を十分入れるという宮城県沖地震災害の教訓を活かせなかったことが残念です。世界中にある石造りの家屋や要塞でも、単なる土壁の中にわらを練り混ぜると粘着材として有効に働くことが経験的に知られています。熊本城の石垣も圧縮力だけが生じていれば崩れることはなかったのですが、地震が大きすぎました。
このように、自然の力と物体の力学原理を理解した上で、簡単に壊れないものを作ることもサイエンスです。明石海峡戸大橋は長さ3.9km(主塔間は1.991km)にもなる世界最長の吊橋で、6車線もの広い道路を備えています。大型台風や地震が来ても簡単には壊れないことを前もって計算と実験で確認しながら設計し、かつてのNHK「プロジェクトX」でも取り上げられました。橋や建築物などについても知的好奇心を持っていただけるよう、心より期待しています。
公益社団法人日本金属学会東北支部長 鈴木 茂さん
人間が持っている知的好奇心により様々な法則などが見出され、科学や技術が進歩してきました。"Wissenschaft"というドイツ語があり、それには"science(科学)"だけでなく、"learning(学習)"、"knowledge(知識)"などの意味も含まれています。日本の受験塾などでは法則を覚え応用する考えるパターンが多く見受けられますが、人間には自然現象や身の回りのモノなどから何かを知る(Wissen)ことで法則などを見出す能力を身に付けることも重要です。サイエンス・デイは自然現象や身近なモノを観察し考えるのに良い機会であり、各展示では知的好奇心が刺激されるだけでなく創意工夫も感じ取ることができるでしょう。
日本金属学会などの学会では、科学技術の健全な発展や平和利用のために、研究倫理が重要視されています。サイエンス・デイという日ごろ接していない学びの場において、皆さんが健全な知的好奇心に駆られ、何かを感じ発見をされることを期待しております。
東北大学 工学研究科長 長坂 徹也さん
科学技術の分野において、真の「独創性」を保証することは非常に難しいと思います。無から有を生み出すことはできず、何ら前例のない奇想天外なアイデアや成果が生まれることは大変稀です。しかし一方で、我々はしばしば感動すら覚える新規な科学技術の成果に出会うことがあります。そこには多くの場合、基になる既存知見があり、これに対して施された独自の工夫がうまくいったものが独創性が高いと評価されているようです。すなわち「創造的模倣」を行うことが独創性を発揮することにつながると言えるのではないでしょうか。例え良く知られた既存の知見であっても、幾つかを上手に組み合わせると、全く異なるものが出来る、全然違う利用法になる、等の新規性が生まれます。「創造的模倣」は単なる前例の物真似やちょっとした改善などではありませんので、決して簡単にできることではありませんが、サイエンス・デイが「創造的模倣」のとっかかりになる方が一人でも多く出てくれば、それだけでも大成功でしょう。
東北工業大学 学長 今野 弘 さん
科学技術は、今や私たちの便利な暮らしを支えていますが、一方でたくさんの課題にも直面しています。その解決は現代人に課せられた使命であり、克服するのも科学の力です。科学する基本は、「なぜ?」「どうして?」「こんなはずではない!」という探求心であり、積極的な姿勢です。 「サイエンスデイ」で多くの科学する人に触れて、おもしろさ、楽しさにより科学を深く感じ、強く印象に残る一日となって、それが参加者すべてのひとの未来と、豊かな社会の創造につながることを信じています。
岩手県立大学長 鈴木 厚人 さん
『学都「仙台・宮城」』サイエンスデイ2018の開催に際し、皆様のご努力に敬意を表します。この企画の目的を目にして、昔、ある雑誌に書いた記事を思い出しました:自然が研究対象の物理学は、まずは自然に問いかけることが出発点です。例えば、太陽が顔を出すとなぜ暖かくなるのだろうか?そのエネルギー源は何だろう?(太陽内部で起こる核融合反応によってエネルギーが生成)。では,核融合反応が実際に起こっていることを確かめる方法はあるのだろうか?(核融合反応に伴って作られるニュートリノを検出)。太陽は特別の天体ではなく恒星の1つです。よって、太陽を理解することは宇宙全体の理解の一歩になります。このように身近な自然現象に対する素朴な疑問が、宇宙全体の理解にまで展開していきます。自然は真実そのものです。嘘は言いません。とにかく自然を十分観察し、自然に問いかけ、そこに潜む真理を掘り起こす努力を惜しまない、これが物理学を志す学生に要求される姿勢です。
一般社団法人電子情報通信学会 東北支部 支部長 山田 博仁 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ 2018』の開催,誠におめでとうございます.
このイベントが10年以上の実績を重ねて仙台・宮城の地にすっかり定着し,夏の風物詩になったことは大変すばらしいことと思います.「科学」は一見難しいものに感じるかもしれませんが,我々の身の回りのあらゆるところで役に立っています.例えば皆さんがお使いの携帯電話を例にしてみても,アンテナ・電磁波,半導体,光通信,信号処理など様々な技術の上に成り立っています.それら技術の中には,ここ仙台・宮城で生まれた研究成果も数多くあります.是非そのような技術に一つでも多く触れて頂ければと思います.
電子情報通信学会は 1917年に創立された電信電話学会がその始まりであり,昨年創立100 周年を迎えた,非常に歴史のある学会です。本会は電子・情報・通信および関連する分野の国際学会として,光り輝く未来に向けて人材の育成に貢献することを目指しています.サイエンスデイで来場された皆さんが科学に触れて,新しい発見につながることを心より期待しています.