開催報告
- 概要
- アンケート結果(おとな)
- アンケート結果(こども)
- 主な掲載・放映実績
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、普段なかなか実感する機会の少ない科学や技術の"プロセス"を子どもから大人まで五感で感じられる場づくりを目指し、2007年から毎年7月に開催している体験型科学イベントです。
6回目を迎える今年も、共催団体として、東北大学ならびに独立行政法人産業技術総合研究所東北センターに多大なるご協力を賜りました。また本趣旨に賛同する大学・研究所や企業、行政や学校など、昨年度を上回る93団体(昨年度:76団体)にご出展いただき、それぞれの科学の"プロセス"を形にしていただきました。
当日の7月15日(日)は、東北大学川内北キャンパス講義棟まるごと会場となり、計82(昨年度:68)プログラムが実施され、6,311人(昨年度:5,811人)の方にご来場いただき、大盛況のうち無事終了することができました。ご出展者・ご来場者各位ならびにご協力いただきました関係諸団体に、心から御礼申し上げます。
→ 学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2012の出展プログラム一覧はこちら
【出展規模】
●出展者数(1日間):93団体(昨年度:76団体)
●プログラム数(1日間):82プログラム(昨年度:68プログラム)
◇クローズ型:34講座・計105回実施(昨年度:27講座・計86回実施)
◇オープン型:48ブース(昨年度:41ブース)【来場者数】
日 付:7月15日(日)
天 候:雨 時々 曇(最高気温26℃)
対 象:こども~おとな
来場者数:6,311人(昨年度:5,811人)サイエンスデイAWARD2012表彰式・交流パーティー開催!受賞者決定!!
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』では、あなたが"よい"と思った出展プログラムに対して、自分の賞をつくって表彰する取組み「サイエンスデイAWARD」を行なっています。"よい"科学や技術とは、そもそも何か?そこにはさまざまな視点があります。サイエンスデイAWARDは、複眼的な視点から評価できるよう、個人・団体問わず誰でも賞を創設できることが、最大の特徴です。
今年の「サイエンスデイAWARD」では、昨年度(25の個人・団体)を上回る、34の大学や研究機関、企業や官公庁、小中高生などが、のべ37賞をつくりました。審査結果は、7月27日(金)に東北大学片平さくらホールにて開催した「サイエンスデイAWARD2012表彰式」で発表されました。当日は、会場いっぱいとなる約140名を超える多くの方に、大変お忙しい中、ご出席を賜りました。
今年は計22団体が受賞し、そのうち一冠受賞が14団体、二冠受賞が5団体、三冠受賞が1団体、四冠受賞が1団体、六冠受賞が1団体ありました。表彰式では、賞創設者から受賞者に対して、それぞれ賞状と授賞理由、副賞が授与されました。表彰式に続いて開催された交流パーティーでは、賞創設者と受賞者ら関係者による、既存の枠組みを超えた交流が行われました。
ご理解・ご協力を賜りました関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。引き続き、皆様のご支援のほどよろしくお願い申しあげます。
開催趣旨
社会がグローバル化する中、我が国の科学技術研究および産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、子どもたちの「理科離れ」が叫ばれています。「理科離れ」は単に「個人的に理科が嫌い」という問題ではなく、理科を学ぶ過程で本来養われるはずの知的好奇心や論理的思考力などの低下を意味しています。その結果として、文理問わず高等教育を理解できない学生が増大し、大学教育の質の維持が著しく困難に陥っているというかたちで問題は顕在化しており、もはや「理科離れ」問題は、国民全体における知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。
これらの社会的背景に、社会の細分化・複雑化に伴い、個々は専門家に任せ、結果だけを利用するブラックボックス化が進んだことがあります。その結果、わたしたちは効率性と引き換えに、本来そこにあるはずの【結果に至るまでのプロセス】を実感する機会を失ってきました。しなしながら【結果に至るまでのプロセス】にこそ、我が国が科学技術創造立国として国際社会の中で存在感を示し、なおかつ、わたしたちが心豊かな社会を創造するために大切な営みが隠されているはずです。特定非営利活動法人natural science では、この【結果に至るまでのプロセス】の見えない危機こそが、個人・地域社会・国レベルでの問題の本質的な原因と捉え、そこから解決策を見出していきます。
そもそも科学と言うと、「客観的で既に完成された完璧な体系」といった結果のイメージが先行しがちです。しかし、当然のことながら、それら科学をつくるのは人であり、試行錯誤のプロセスがあり、そこには人の思いがあります。それら一つひとつの思いは共鳴し合うことで大きくなり、私たち一人ひとりが困難に立ち向かい、心豊かな社会をつくる原動力となることは、たとえどんなに大きな環境の変化があっても変わらないはずです。特定非営利活動法人 natural science は、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、「科学」を切り口に【結果に至るまでのプロセス】を可視化・共有化する場として機能することを「科学で地域づくり」と位置づけ、オリジナル科学教育プログラムの開発・実施のほか、『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を企画・運営しています。
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、「科学の【結果に至るまでのプロセス】を子どもから大人まで五感で体験できる日」をコンセ プトに、古くより「学都」として知られる仙台・宮城の地において、2007年から毎年開催している科学イベントです。既存の枠を超えた大学・研究所や企業・行政など、約100団体のご協力のもと、研究者や技術者らによる多様な【結果に至るまでのプロセス】を、普段科学に触れる人も触れない人もどなたでも体験できるプログラムを同会場で一斉実施しています。
また本イベントでは、来場者や出展者が「おもしろい」と思ったプログラムに対して、自分の賞をつくって表彰する取組み「サイエンスデイAWARD」を行なっています。賞は、複眼的な視点から表彰できるよう、個人・団体を問わず誰でもつくることができ、後日開催される「サイエンスデイAWARD表彰式・交流パーティー」にて、賞状と副賞を授与します。科学って、そもそもなんだろう?―サイエンスデイAWARDは、参加する一人ひとりがそれを考え、自由に提案することを通して、心豊かな社会を模索し創造する場となることを目指しています。
そもそも人は自分がおもしろいと思ったことを形にしたいと思う存在です。そして、それを他人に理解されれば嬉しいです。この認識に立つ時、科学は人の本性に根ざすものとなり万人のものとなるでしょう。こうした共感の輪を生みだす場となることが、次、その次に登場する科学や技術が継続的に生み出され、さらに心豊かな社会が達成されていく土壌となるはずです。知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、皆様のご参加をお待ちしております。
特定非営利活動法人 natural science
企画概要
〜科学のプロセスを五感で感じる ・ 科学で地域が見える〜
社会の成熟化に伴い、科学や技術はブラックボックス化し、わたしたちは便利さと引き換えに、科学や技術の"プロセス"を五感で感じる機会を失ってきました。しかしながら、科学や技術のもたらす"結果"のみを一方的に享受するだけの姿勢では、科学離れや科学リテラシー不足などの社会的リスクを回避することはできません。
ならば、ブラックボックスを少しだけ開けてみて、科学や技術の"プロセス"を五感で感じられる場を地域につくりましょう。仙台・宮城は古くより学都として知られ、大学や研究所、企業などが地域の中に密集し、科学や技術が生活と隣り合わせで存在している地域です。この地域の特性を活かし、「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、科学や技術の背景にある"人"や"プロセス"を自らの五感で感じられる場として、『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を毎年開催します。
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』開催を通じて、「科学」を切り口に地域を再発見し関係性再構築の場として機能することで、よりよい地域社会の実現を目指します。
ステップと期待する効果
ステップ① 科学の"プロセス"を体験
各出展団体の現場の"人"が「おもしろい」と思う"プロセス"を形にした体験型プログラムを通じて、普段なかなか実感できない"プロセス"を体感することで、子どもから大人まで各人各様の感じ方から自然な形で興味・関心が喚起される。
ステップ② 研究者や技術者等の現場の"人"との対話
喚起された興味・関心は各人各様であり、それぞれの人が「知りたい」と思うところから、研究者や技術者等の現場の"人"との対話を通じて、各自が興味・関心を深めることができる。
ステップ③ 年間を通じた科学イベントへの参加
本企画は地域の多様な主体の取組みによって構成されている"見本市"的な役割も担っているため、本企画参加時に参加者が会員登録できるしくみをつくる(参照:今年の新しいポイント)ことで、年間を通じて、地域で開催される各出展団体の取組み(一般公開や市民向け講座など)に参加者が継続的に参加できる環境を整える。
ステップ④ 生活の中で関連事項と遭遇
本企画は地域資源で構成されているため、本企画終了後も、市民が普段の生活の中で関連事項と遭遇する機会は多い。これまで何気なく利用していた製品や成果等の"結果"を見ても、本企画をきっかけに、その背景にある"プロセス"も想像でき、興味・関心が継続し、身近に感じられる効果が期待される。
ステップ⑤ 毎年恒例イベントとして参加
毎年開催により認知度は高まりつつあるが、今後も地道に連携機関を増やし、地域の毎年恒例イベントとして定着化を図ることで、科学・技術に興味・関心のある人から、普段は科学イベントにあまり参加しない人まで、幅広い層が科学・技術を楽しむことができる場を地域に創出していく。
ステップ⑥ お互いに応援し合うコミュニティへ
各主体の取組みについて、各主体や市民がお互いに応援し合ったり、表彰し合えるしくみ(サイエンスデイAWARD等)をつくることで、相互理解を深めながら、誰もが主体的に科学に参加できるような、持続可能な『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の構築を目指していく。
今年の新しいポイント
皆様からのご要望・ご意見などを反映した、今年の新しいポイントは下記の通りです。
イベントの大規模化(出展者・参加者数の増大)に伴い、来場者に対してより適確に情報が伝わることや運営がよりスムーズになることが高次元で求められるようになるため、今年はさらにイベントのしくみ自体をシンプル・合理的に改善していくとともに当日案内パンフレット等の当日案内情報の充実化を図ります(参照:出展概要、スケジュール)。
本イベント事前登録時に参加者が会員登録できる仕組みをつくることで(2011年は約2,000人の参加者が事前登録を行った)、本イベント終了後も、地域で開催されている各主体の取組み(一般公開や市民向け講座等)を直接的・継続的に市民へ情報発信できる環境を整えます。
開催概要
- 名 称
- ①学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2012
②サイエンスデイAWARD2012表彰式・交流パーティー - 日 時
- ①2012年7月15日(日) 9:00~16:00
②2012年7月27日(金) 午後を予定 - 会 場
- ①東北大学川内北キャンパス 講義棟 (宮城県仙台市青葉区川内41)
②東北大学片平さくらホール(宮城県仙台市青葉区片平2-1-1) - 主 催
- 特定非営利活動法人 natural science (2007年6月設立)
- 共 催
- 東北大学、独立行政法人産業技術総合研究所東北センター
- 後 援
- 宮城県、仙台市、宮城県教育委員会、仙台市教育委員会、東北経済産業局、 仙台市PTA協議会、東北学院大学、東北工業大学、社団法人東北経済連合会、 公益財団法人東北活性化研究センター、社団法人日本技術士会東北支部、 社団法人みやぎ工業会、社団法人発明協会宮城県支部、宮城県中小企業団体中央会、 仙台管区気象台、独立行政法人理化学研究所、仙台高等専門学校、仙台商工会議所、河北新報社、 NHK仙台放送局、東北放送、東日本放送、仙台放送、ミヤギテレビ、DateFM、 読売新聞東北総局、産経新聞社東北総局、朝日新聞仙台総局、毎日新聞仙台支局、 日刊工業新聞仙台総局、時事通信社仙台支社、共同通信社仙台支社
- 入 場 料
- 無料
- 来場対象
- こどもからおとなまでどなたでも
- 来場見込
- 約6,000人(2012年実績:約5,800人)
- 出展費用
- 無料(ただし出展に関わるその他の費用はご負担下さい)
- 出展募集
- 約80プログラム
- お問合せ
- 特定非営利活動法人 natural science 事務局 大草芳江
〒980-0023 仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル3階 Five Bridge 内
Tel.022-721-2035
URL http://www.natural-science.or.jp/
お問合せフォーム - 備 考
- 本事業は、独立行政法人科学技術振興機構の平成24年度科学技術コミュニケーション推進事業「活動実施支援」を受けて実施しています
応援メッセージ
掲載順序は到着順です
宮城県知事 村井 嘉浩 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2012』の御開催、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。私たちの身の回りにあるモノや現象は、当たり前に存在するものとして見聞きしてしまいがちですが、その成り立ちにはいくつかのプロセスがあります。普段の生活の中では、そのプロセスを確認することは難しいかもしれませんが、このイベントでは、県内の優秀な大学・研究機関、関連企業の皆さんの御協力の下、プロセスを五感で体験できる場を提供していただくと伺っており、子どもから大人までが楽しみながら、科学や技術を身近に感じられる絶好の機会であると思います。この体験を通して、皆さんが「なぜ?」「どうして?」と感じている疑問が解決するかもしれません。さて、本県は、昨年3月に発生した東日本大震災により甚大な被害を受け、その爪痕はまだ大きく残っています。復興に向けた取組ははじまったばかりですが、このイベントに多くの企業様や県民の皆さんが参加され、宮城、東北を元気にするイベントになるとともに、科学の力が復興の原動力になることを期待します。
仙台市教育委員会 教育長 青沼 一民 さん
このたびの『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2012』のご開催は誠に意義深く、心よりお祝い申し上げます。私たちの街「仙台・宮城」は、世界中から心のこもった温かな応援をたくさんいただきながら、まさに東日本大震災からの復興へと歩み始めたところです。本市では、現在もなお他校の校舎や仮設校舎で授業を行っている小・中学校があります。今回の参加者の中にもいろいろな制約の中で、たくましく学んでいる小・中学生がいることと思います。これから仙台・宮城の復興の担い手となる小・中学生のみなさん、自然と人間が共生していくときに科学技術の発達は大変重要な意義があります。この企画はふだんなかなか見られない科学・技術のプロセスを五感で体感できる絶好の機会です。さらに、その一つ一つの講座プログラムを開発した地域の大学・研究機関・企業等の研究者や技術者の皆さんにも接することができる機会でもあります。みなさんの希望の苗を大きく育てていってほしいと願っています。その姿に多くの方々が励まされ、故郷復興の歩みを進めることでしょう。がんばれ!仙台・宮城の子どもたち
経済産業省 東北経済産業局長 豊國 浩治 さん
今年も『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』開催に向けての活動がスタートしました。昨年に続いてメッセージということですので、今年は「理科系になろう」という言葉を贈ります。自分は文科系ですが、それでも理科系を勧めるのは、2つの理由があります。社会は文科系、理科系さまざまな人たちで成り立っていますし、それぞれの人が役割を果たしています。でも文科系の学問分野である法律や経済だけで社会を豊かにすることは出来ないのです。社会を豊かにしていくためにはどうしても、科学の力、理科系の力が必要です。そんな重要な仕事に携わる理科系の人は本当に素晴らしいと思います。理科系を勧めるもう一つの理由は、理科系から文科系になるのは簡単だからです。けれども一度理科系の勉強をあきらめてしまうと、理科系には戻れません。理科系になるには算数や理科が大事です。勉強には我慢と忍耐が付きものですが、学ぶ楽しさや喜びもたくさんあります。仙台・宮城の皆さん、理科系を目指して頑張りましょう。
社団法人 東北経済連合会 会長 高橋 宏明 さん
東北地域では、東北大学の技術をベースに、戦前では東北金属工業(現NECトーキン)、東洋刃物、本山製作所、さらに戦後も通研電気工業が設立され、現在に至るまで、東北の経済を牽引する役割を果たしてきております。今、東北が直面している東日本大震災からの産業復興を成し遂げるためにも、ライバルであるアジア諸国の先を行く技術力の確保など、単なる復旧ではなく、科学技術をベースに創造的な復興を遂げることが極めて重要です。そのためにも、科学技術に対する理解を深める機会をつくることが大切なことになります。『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「科学って、そもそもなんだろう?」という基本に立ち返り、科学や技術の背景にある"人"や"プロセス"を自らの五感で体験する場であります。次世代を担う子供たちに科学の面白さを体験してもらう良い機会です。ぜひたくさんの方々が参加し、盛会に開催されることを祈念して、私のメッセージと致します。
独立行政法人 産業技術総合研究所東北センター所長 原田 晃 さん
寒かった冬もようやく終わり、暖かい良い季節になってきました。今年も『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』の準備が始まりました。昨年の東日本大震災から立ち直るため、今年は「復興元年」と位置付けられて多くの活動が行われています。「復興」のためには、新しい知識を総動員して、これまでにはない社会システムを築き上げていくことも必要になってきていると思います。震災とそれに続いた事故から、技術に対する不信感が生まれてしまいました。しかし、新たな社会システムを構築していくためには様々な技術革新が必要ですし、それを支える科学の力が重要になってくると思います。よりよい社会を作っていくために、ひとりひとりの科学の力を培って行くことが大切ですし、『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』はそのきっかけになる良い場です。皆さんで、楽しい、有意義な催し物にしていきましょう。
仙台市科学館 館長 石井 鉄雄 さん
私たちは、毎日、さまざまな科学・技術の恩恵を受けながら暮らしていますが、科学・技術が高度に発達し便利になった半面で、私たちの身近にある科学が見えにくく、また当たり前になってしまって、そこにどんな原理ガ活かされ、応用されているのか、といったことを考える機会もなくなってきているように感じられます。現代の高度な科学も、学校で学習するような理科、科学を基礎にして成り立っているわけですが、そのつながりは遠く感じられ、科学が本来持っているはずの面白さ、不思議さが感じられにくくなっているように思います。このような中で、「科学や技術のプロセスを五感で感じられる場」を提供する「学都「仙台・宮城」サイエンスデイ」は、第一線の研究者・技術者の方々が体験・講座のプログラムを持ち寄り、これを通して市民の皆さんが直接最新の科学・技術の面白さ、興味深さに触れることができる貴重な取り組みです。仙台市科学館は、これからもこの活動を精一杯応援してまいります。
仙台市天文台 台長 土佐 誠 さん
『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2012』のご開催おめでとうございます。私にとって科学とは自然界の疑問や謎を見つけ、自分で考えたり試して疑問や謎を解くプロセス・体験です。これはサイエンスデイの趣旨「科学のプロセスを五感で体験」とぴったり一致します。もし、皆さんがサイエンスデイで科学のプロセスを知り、身のまわりの謎や疑問を解いてみたいと思ったら、毎日がサイエンスデイになり、今まで以上に自然が身近になります。会場の東北大学川内北キャンパスは自然豊かな美しい場所ですが、私にとっては、むかし天文学者を目指して科学の勉強を始めた場所で、学都「仙台・宮城」の中心・原点です。サイエンスデイに参加して実験やデモンストレーションあるいは展示を見ていると、今でも新しい発見があり、科学の奥深さを実感します。ぜひ皆さんもそれぞれの科学を見つけ、自然をより身近なものにしてください。
東北大学大学院文学研究科教授(科学哲学者) 野家 啓一 さん
東日本大震災とそれに続く東京電力福島原発事故は、私たちの科学観や自然観を根底から揺さぶり、科学と科学者に対する「信頼の危機」を引き起こしました。巨大化した科学技術は、必ず何らかの「社会的リスク」を伴います。リスクを回避あるいは縮減するためには、放射能汚染の被害を受けた地域住民がみずから放射線量を測定し始めたように、何事も「専門家任せ」にすることなく、安全・安心を実現するために自分たちの手で科学技術の「シヴィリアン・コントロール」を進めることが必要です。そのためにも、私たちは科学の楽しさや面白さだけでなく、その不確実性や危険性をも含めて、最低限の「科学リテラシー」(読み書き能力)を身に着けねばなりません。このサイエンス・デイの試みが、その出発点となることを期待しています。