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サイエンスデイ2008

開催報告

  • 概要
  • アンケート結果
  • 学会発表
  •  「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、バラエティー豊かな体験型科学イベントを一堂に楽しめる、「第1回 natural science シンポジウム」が東北大学さくらホールで今年7月開かれ、多くの親子連れや学生、市民ら約300名でにぎわった。

     組織の枠を超えた若手研究者・学生らで「科学」を切り口とした地域づくりに取り組むNPO法人「natural science」が、法人化1周年を記念して開催したもの。

     「natural science」の若手研究者や学生による科学教室の他、「ゾウの時間 ネズミの時間」著者の本川達雄・東工大教授による基調講演、地域の企業や研究所など9つの実験ブースが参加する、地域の科学や技術に気軽に触れられる1日限定のカフェ「Cafe natural science」など、普段はなかなか体験できないバラエティー豊かな体験型科学イベントが次々と催され、小さな子どもからお年寄りまでが、科学の世界を楽しんだ。

    目次

    1
    13:00-14:00 親子で楽しめる基調講演 (小学生~)
    「生きものは円柱形」 本川 達雄 さん(東京工業大教授)
    2 14:30-16:00 研究プロセス体験型サイエンスライブ (中学生~)
    「五感ってそもそも何だろう?」 NPO法人 natural science (¥500/人)
    3 ①14:30-15:30 ②16:00-17:00 科学実験教室 (小学4年~6年生)
    「生きている地球をつくろう!」 NPO法人 natural science (¥500/人)
    4 「すべらない」を体感しよう!
    (弘進ゴム 株式会社 )
    5 見える光・見えない光のダブルで発電しよう!
    (㈱ミウラセンサー研究所、JAXA 宇宙航空研究開発機構 先端技術センター、ソートR&D株式会社、株式会社ジーイーエス)
    6 蒲鉾を揚げた油でバイオディーゼル燃料をつくろう!
    (塩釜市団地水産加工業協同組合)
    7 技術の司令塔・プログラミングを体験しよう!
    (日本ナショナルインスツルメンツ 株式会社)
    8 バラ科の果物の秘密にせまろう!
    (宮城県農業・園芸総合研究所)
    9 宮城の米粉をつかったおかしをつくろう!
    (宮城県産業技術総合センター)
    10 アイディアがどんどん出てくるゲームをしてみよう!
    (株式会社デュナミス)
    11 磁石を知ろう!永久磁石をつくろう!
    (株式会社 マグファイン)
    12 いろいろな場所の二酸化炭素をはかってみよう!
    (株式会社 仙台測器社)
    13 仕込み水で淹れたコーヒー(有料)
    (自家焙煎珈琲店「珈巣多夢」、自家焙煎珈琲喫茶「ひこ」、森民酒造本家)
    14 酒粕スイーツ各種(有料・数量限定)
    (森民酒造本家)
    15 「学会へ行こう!プロジェクト」研究成果報告ブース
    (NPO法人 natural science)
    ● 2匹の働きアリが示す行動解析(結城麻衣・東北学院大学教養学部4年)
    ● 多細胞生物における複合刺激に対する応答(田村京子・東北学院大学教養学部4年)
    ● 地球環境を考える~百万都市仙台における緑の働き~(佐藤公平・東北学院大学教養学部3年)
    ● エンジンの熱力学の考察(遠藤隆平・東北学院大学教養学部3年)
    ● アリの生態にもとづいたアリロボットアルゴリズムの構築(八重樫和之・東北大学工学部3年)
    ● 電気と磁気の関係(佐瀬一弥・東北大学工学部2年)
  • ①年齢別 来場目的(複数選択可)

    ②感想(自由記入)

    • 間近で科学の不思議を見れて面白い
    • 紹介パネルがもう少し前にあるとうれしい
    • BDF等が地域ぐるみでやられいる
    • BDFから果物までラインナップが広い
    • 学生にも楽しめる企画があった
    • 学生にアピールしてもよいのでは
    • ありの生態系が分かって感動しました!
    • いろんなコーナーがあり楽しかった
    • 皆様に丁寧に説明していただき楽しかった
    • 休憩場所(イス)がもう少しあれば良かった
    • コーヒーもおいしかったです。×2
    • ありの巣の幼虫とさなぎ初めてみました
    • とてもおもしろかった
    • 非常に分かりやすく説明していただけた。
    • とても雰囲気が良かった
    • 座ってコーヒーを飲めるスペースがもう少し欲しい
    • 自分の専門外の研究がよく分かりました。
    • 磁石のコーナーがとても面白かった
    • いろいろなことを知った。
    • 少し難しい。
    • いろいろな体験が出来た。
    • へぇ、こんなのがあるんだ。
    • えっ、本当になった!などとてもびっくりしました
    • 子供たちが興味を持てる見せ方がとても良かった
    • 蒲鉾油の燃料は感動しました。
    • いろいろ勉強できた
    • ボルボックスが面白かった
    • 企業の科学技術を活かした企画はとても楽しい
    • 企業がもう少し多くてもよいかも
    • 研究室は学園祭とあまり変わり映えがなく退屈だった
    • 研究頑張ってください
    • 科学は苦手ですが、ひとつひとつ身近なものがあるので面白かったです。子どもが興味を持ってくれたらいいな。
  •  会員数約2万人と日本最大規模を誇る日本物理学会では、国内の大学を会場として、毎年、春と秋に全国規模の学術講演会を開催しています。素粒子・核物理・宇宙線などの6領域と、物性を中心とした13領域があり、全国から集まった約5000 人の研究者たちにより、3,600件におよぶ講演と討論が行なわれます。

     9月20日(土)から23日(火)まで、岩手大学上田キャンパスにて開催された、日本物理学会・秋季大会(領域13)にて、「若手研究者と学生主体のNPO法人 natural scienceの取組み」を講演して参りました。

     講演では、「第1回 natural science シンポジウム」を具体例に、「natural science」の活動の前提となるスタンスについて説明しました。

     質疑応答は講演終了後も約20分ほど続き、また、日本物理学会が発行する「大学の物理教育」誌へもnatural scienceの取組みを執筆することになりました。

    日本物理学会 2008年 秋季大会 領域13
    「若手研究者と学生主体のNPO法人 natural scienceの取組み」

    発表者:大草芳江

    ●「natural science」とは?

     わたしたち「natural science」は、「科学」のもつ様々な可能性を模索し、「科学」を切り口とした地域づくりを目指す、組織の枠を超えた若手研究者・学生主体のNPO法人です。仙台・宮城を拠点として活動しているため、東北大学、東北工業大学、理化学研究所、東北学院大学などの研究機関に所属する若手研究者や学生が中心の組織ですが、それだけでなく、日本ナショナルインスツルメンツやアルプス電気など、企業の方やOBの方も活動に参加しています。

    ●「natural science」が生まれた社会的背景

     そもそも「natural science」ができた社会的な背景として、現代社会は、いわゆる「役目・役割」の社会。組織として成果を挙げるためには、それぞれが役目・役割をしっかりと果たすことが求められています。しかしながら役目・役割を要請されればされるほど、わたしたちは、役目・役割ではない「個」由来なもの、すなわち内発的動機で力を発揮できる場を、強く求めるようになります。そのような現状に対して、我々は、役目・役割ではない、交換不可能な「個」をスタート地点にして、社会との接点を持つ場をつくりたいと願い、「natural science」は生まれました。

    ●「個」からスタートした研究が、幅広いネットワークをつくる

     まずはじめに若手研究者らによる週末研究が始まりましたが、「個」の素朴な興味からスタートした研究は、既存の研究機関からも着目され、現在は、東北工業大学、東北大学電気通信研究所、東北学院大学教養学部、東北大学理学部、宮城教育大学教育学部、東北大学工学部など様々な研究機関との共同研究や、㈱仙台測器社、日本ナショナルインスツルメンツ㈱、㈱マグファインなどの企業から研究協力を頂けるようになりました。また、ロボットを用いた電子工作教室「科学実験工作教室~ロボットへの道~」や、自然の中で行う科学教室「体験型自然科学の教室」、高校生・大学生主体の「国際学会へ行こうプロジェクト」など、若手研究者だけでなく、学生らも試行錯誤の中で、自らの興味から出発した研究開発を行っています。

    ●「個」からスタートした取組みと社会の接点:「第1回 natural science シンポジウム」

     さらに今年の7月は、「個」からスタートした取組みと、明示的な社会との接点の場として、「第1回 natural science シンポジウム」を東北大学片平さくらホールにて主催しました。シンポジウムでは、「natural science」がこれまで研究開発してきた成果を、研究プロセスを疑似体験できる「サイエンスライブ」や、「科学実験教室」、地域の企業や研究所9ブースが出展した「地域の科学や技術とゆるやかにつながるCAFE natural science」などの形で発表しました。

     本シンポジウムのテーマは、「科学って、そもそも何だろう?」。参加する若手研究者・学生や出展者らが、この原点に立ち戻り、協働でコンテンツを考え、準備を進めてきました。参加した企業や研究所も、普段のような組織の役目・役割から入るのではなく、それ以前に組織の中で働く個人が「面白い」と思うものからスタートしたコンテンツを、「natural science」の学生らとの協働でつくったケースも見られました。

     来場者からは、「ただ話を聞くだけでなく、これだけの種類を体験できて、とてもおもしろかった」、「分野がバラバラだったのが非常に良かった」、「普段親子連れで来ても、低学年の妹が楽しめない場合が多いのだが、このイベントでは、幼児から大人まで楽しめた」などの声を多く頂きました。アンケートからも、老若男女問わず、満足度の高いイベントを開催することができたことがわかりました。また、企業や研究所などの出展者からは、「面白みを確認したい・追求したいと思っている社長さん達が、参加しているのだと感じた」、「普段の事業の意義を再認識し、さらに来場者に理解してもらえて嬉しかった」などの声が聞かれました。

    ●「個」からスタートした取組みは、新しいコミュニティ形成の原動力に

     これらはすなわち、組織の「役目・役割」から入るのではなく、直感的に「個」が面白いと思ったものからスタートするものは、年齢やジャンルの壁を超え、新しいコミュニケーションやコミュニティを形成する原動力となることを示していると考えます。それらが結果的に、科学コミュニケーションやCSRという概念に結びつくのではないでしょうか。

    ●「natural science」のこれから

     約3年間の活動を通じて、「個」からスタートする取組みの共通項として「科学」は有効であることを実感しています。今後の具体的な予定としましては、本シンポジウムを更に発展させ、「ストリート・サイエンス・フェスティバル in SENDAI(仮)」なるものを開催したいと考えています。より多くの企業や研究所が参加する、繁華街での一大科学イベントです。わたしたち「natural science」は、「科学で地域づくり」をスローガンに、これからも活動を続けて参ります。

開催趣旨

 近年、わが国の科学技術研究及び産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、子どもたちの「理科離れ」が叫ばれています。「理科離れ」は単に「個人的に理科が嫌い」であるという問題ではなく、理科を学ぶ過程で本来養われるはずの「知的好奇心」や「論理的思考力」などの低下を意味しています。その結果として、文理問わず高等教育を理解できない学生が増大し、大学教育の質の維持が著しく困難に陥っているというかたちで問題は顕在化しており、もはや「理科離れ」問題は、国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。
 また子どもたちを取り巻く社会環境として、本来そこにあるはずの人と人、自己と対象との関係性を実感することが困難な状況に陥っています。効率性を追求し複雑化・細分化されてきた社会システムによる弊害は、社会構成の基盤となるはずの市民参加を事実上困難なものとし、その結果が、個人・家族・地域社会・国レベルでの多様な社会問題として顕在化しています。
 「科学」の本質は、観察からはじまります。対象に直接触れ、自分の目で見て、自己と対象との関係性を五感で感じることなしに、知的好奇心・論理的思考力が養われることはありません。また、「科学」と言うと結果や成果が注目されがちですが、そこに至るまでのプロセスにこそ、知的好奇心や論理的思考力をはじめとする、科学的なものの見方・考え方が隠されています。
 NPO法人設立1周年を記念して開催する「natural science シンポジウム」は、「科学」と「地域」を切り口に一般層や子どもへの研究プロセス体験型科学実験教室開催や、企業・研究所・行政の枠を超えた地域社会と市民との新しいコミュニケーションの実践、など、弊社のこれまでの取組みを総結集した様々な企画を展開して参ります。
 大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、"「科学」って、そもそもなんだろう?"を五感で感じて頂きたいと思います。

謹白
特定非営利活動法人 natural science

企画概要

第1回 natural science シンポジウム テーマについて

● 「科学」って、そもそも何だろう?

 「科学」というと、知識や客観的事実のイメージや、中高生の皆さんにとっては暗記科目というイメージがあるかもしれません。しかしながら、そもそも「科学する」こととは、対象と「自分とのつながり」を感覚と知覚によって認識し、そこから、ものごとの因果関係を分析的・論理的に体系化していくことです。これを「科学的思考力」といいます。すなわち、「科学」と言うと客観的な知識ばかりが注目されがちですが、実は「自分とのつながり」を感じることから、科学ははじまるものなのです。

● 現状認識

 しかしながら現状は、よく問題として指摘されているように「知識偏重型」の教育、すなわち対象と「自分とのつながり」をリアルに感じる前提がないまま知識を詰め込む、受身そのものの教育がなされています。その結果が、よく知られているのは子どもの理科離れ問題ですが、実は、より深刻だと指摘されているのが、大人の科学リテラシー低下です。こうした問題の背後には、「科学は理系人間だけが知っていればいい」とする科学への無理解や軽視、すなわち科学と「自分とのつながり」を感じようとしない風潮の影響が無視できません。これら科学リテラシーの低下は、わが国の科学技術研究及び産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、もはや国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。

● 「持続可能な社会の構築」の根底を揺るがす危険性も

 同じような問題が、例えば環境教育の場でも起こっています。そもそも環境教育の目的は、文科省によると、「自己を取り巻く環境を自己のできる範囲内で管理し、規制する行動を、一歩ずつ確実にすることのできる人間を育成する」こと。すなわち、環境と「自分とのつながり」を感じ、環境を自分の問題として捉え、自ら考え行動する環境リテラシーの育成です。これらの主体的・創造的・継続的な活動が、持続可能な社会の構築につながる力です。一方、現在主流の「地球を守ろう!」などスローガンから入る教育活動は、一見尤もらしく、言われ続ければ自分も頑張ろうと思えるだけの効果はあります。しかしながら、それが対象と「自分とのつながり」をリアルに感じるだけの前提がないまま行われる教育であれば、知識詰込型の受身教育と全く同じ構図に陥る危険性があります。その結果、本来養われるべきはずの環境リテラシーは低下し、「持続可能な社会の構築」の基盤を揺るがす社会的リスクへと発展する危険性があるのです。

● natural science プログラムの特徴

 以上の現状を踏まえた上で、我々natural science では、「科学的思考力」の育成に重点を置いた科学教育プログラムの開発・実施を行っています。natural science のプログラムは、「そもそも、~とは何か」という「問いかけ」からはじまります。「問いかけ」は、自ら対象と「自分とのつながり」を認識しようとする能動的な営みです。そこに個性がはじめてあらわれます。反対に「問いかけ」の余地なく単に知識のみを鵜呑みにさせる教育は、個々人が自ら考え行動できる前提を奪うことにつながります。すなわち、個々人が「問いかけ」る前提をつくり、かつそれらを分析的・総合的に組み立てていく「科学的思考力」を養うプロセスに主眼を置いた科学教育プログラムの開発・実施が、社会的リスクへの本質的なアプローチとなると捉え、我々はそのような場を地域に創生することを目指しています。

● 本シンポジウムテーマについて

 以上のような認識から、本シンポジウムのテーマを「知識だけじゃない科学を五感で感じる体験型イベント~科学って、そもそも何だろう?~」と設定しました。科学を単なる知識として捉えるのではなく、対象と「自分とのつながり」を「問いかけ」ることで認識し、分析的・総合的に組み立てていく「科学的思考力」のプロセスを重視するスタンスを表しています。

 本シンポジウムを通じて、大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、「知識だけじゃない科学」を、すなわち「科学って、そもそもなんだろう?」を五感で感じていただければ幸いです。

開催概要

名  称
①学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2014
②サイエンスデイAWARD2014表彰式・交流パーティー
日  時
①2014年7月20日(日) 9:00~16:00
②2014年7月25日(金) 14:00~(予定)
会  場
①【メイン会場】東北大学川内北キャンパス 講義棟 (宮城県仙台市青葉区川内41)
①【サブ会場】東北大学カタールフレンド基金ホール(宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6)
②東北大学カタールフレンド基金ホール(宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6)
主  催
特定非営利活動法人 natural science (2007年6月設立)
共  催
準備中
後  援
準備中
入 場 料
無料
来場対象
こどもからおとなまでどなたでも
来場見込
約8,000人(2013年実績:7,206人)
出展費用
無料(ただし出展に関わるその他の費用はご負担下さい)
出展募集
約100プログラム
● 問 合
特定非営利活動法人 natural science 事務局 大草芳江
〒980-0023 仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル3階 Five Bridge 内
Tel.022-721-2035
URL http://www.natural-science.or.jp/
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備  考
独立行政法人 科学技術振興機構(JST)「ネットワーク形成地域型」採択事業
(提案機関:宮城県、 運営機関:特定非営利活動法人 natural science)
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